共創型プラットフォーム「V みんなのエシカルフードラボ」 第3回「食のサステナビリティフォーラム2024」を開催
CCCMKホールディングス株式会社
~今後の消費の中心となるZ世代とエシカルな商品の親和性を紐解く~
CCCMKホールディングス株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長兼CEO:髙橋誉則)が取り組む共創型プラットフォーム「Vみんなのエシカルフードラボ」は、2025年1月30日(木)に、第3回「食のサステナビリティフォーラム2024」を開催いたしました。
「食のサステナビリティフォーラム2024」はVポイントの購買データや調査結果の分析、各社事例をもとにエシカルな商品の消費者価値の創り方・伝え方の示唆につながる情報を提供し、エシカルフードにおける消費者価値を明らかにしていくことを目的にしています。2024年7月19日(金)の第1回を皮切りに、食品メーカー、流通、テックなど業種・業界の垣根を超えたステークホルダーの皆さまにご参加いただき全4回の開催を予定しています。
■第3回「食のサステナビリティフォーラム2024」について
CCCMKホールディングスは、1月30日(木)、東京都・渋谷区で第3回「食のサステナビリティフォーラム2024」を開催いたしました。イオンリテール株式会社、一般社団法人ETHICAL EXPO JAPAN、株式会社共同通信、相模屋食料株式会社、株式会社セブン&アイ・ホールディングス、株式会社TNC、株式会社ニチレイフーズ、日本電気株式会社、ハウス食品グループ本社株式会社、ハウス食品株式会社、株式会社日立ソリューションズ、株式会社hootfolio、株式会社Mizkan Holdings、明治ホールディングス株式会社(※五十音順)より計27名の方にご参加いただきました。
最初に、「海外事例から見るZ世代へのエシカルな商品の消費者価値のつくり方・伝え方」と題し、株式会社TNC 取締役 岸本悠生さまより、グローバル展開におけるSDGs視点の重要性、海外の先進事例から紐解くZ世代に向けたエシカル商品・サービスの共通点などについてご紹介いただきました。
次に、「国内におけるZ世代の食シーンとエシカルな食に関する調査結果の発表」と題し、CCCMKホールディングス株式会社 ビジネスソリューション戦略本部 グループリーダー/データアナリスト 大山翔平より、V会員約800名を対象にしたアンケート調査をもとに、Z世代におけるエシカルの現在地およびエシカルフード消費促進における商品・サービス開発のポイントについて紹介いたしました。
最後に、「Z世代のエシカル動向」と題し、一般社団法人ETHICAL EXPO JAPAN 代表 塗野直透さまより、国内のZ世代におけるエシカル消費志向の高まりとその実態をグループインタビューの定性調査を交えて共有いただきました。
■海外事例から見るZ世代へのエシカルな商品の消費者価値のつくり方・伝え方(一部抜粋)
株式会社TNC
取締役 岸本悠生さま
今年で21年目を迎える株式会社TNCは「グローバル視点で日本を元気に!」をビジョンに掲げ、世界70か国、約600人のパートナーとともに、海外市場におけるリサーチやマーケティング支援を行っています。また食の先進トレンドマーケティングマガジン「FOODIAL」の発行や、オンラインプラットフォーム「SDGs Voice & Eyes」の共同運営など、世界各国のサステナブル・エシカルに関する最新情報の発信も手掛けています。
昨今のEUの急進的な法改正への対応や国際認証の必要性の高まりなど、グローバル展開を目指す日本企業においても商品・サービス開発におけるSDGs視点は必要不可欠です。またビジネスとしてエシカル・SDGsに取り組むためには、グリーンウォッシングに厳しい欧米消費者とのコミュニケーション、ビジョンや目標を誠実に開示する透明性の確保、そして業界・産業の垣根を超えたパートナーシップ構築などが重要な要素として挙げられます。
主要各国におけるエシカルフードの先進事例を読み解くと、話題性のある商品は、エシカル要素はもとより、「美味しさ(味)」や「ヘルシーさ」、Z世代がワクワクするような「ファッション性」が注目されているパターンが多く見受けられます。また文化・宗教的な背景やZ世代の価値観に合致していることに加え、使い勝手の良さや手ごろな価格帯といった「理にかなったプロダクト」であることも重要なポイントです。
例えば、オーツミルクブランドのパイオニア的存在である「OATLY」は、味の良さはもちろん、スタイリッシュなパッケージデザインやブースの演出など、Z世代に受け入れられるマーケティングやプレゼンテーションの上手さが特徴的です。加えて、他社に先駆けてClimate Footprint(CO2e=温室効果ガス排出量)を自社製品パッケージに明記するとともに、英国の全飲料品メーカーに導入を呼びかけるなど、アクティビスト的な活動を通じた楽しくキャッチーな発信で若い世代を中心に絶大な支持を集めています。現に、世界各国のスーパーでオーツミルクだけでなくアイスクリームなど幅広いラインナップを展開することに成功しています。
■国内におけるZ世代の食シーンとエシカルな食に関する調査結果の発表(一部抜粋)
CCCMKホールディングス株式会社
ビジネスソリューション戦略本部 グループリーダー/データアナリスト 大山翔平
CCCMKホールディングスでは、2024年12月に16歳から24歳のZ世代402名と40歳から69歳406名のV会員を対象にアンケートを実施し、Z世代のエシカル消費の現在地について調査しました。
最初に、食全般について「購入する際に重視しているポイント」について質問したところ、Z世代は「品質」と「生産地」に対するこだわりが他世代と比較して特に弱く、一方で「価格」について最も重視していることが分かりました。また「食に対する価値観・行動」について、Z世代は「食べることは楽しいことである」という回答が最も高く、他の世代と比較すると「新しい商品を買う」、「安い価格の商品を買う」、「信頼できるブランドを買う」といった項目が高い結果になりました。
次に、「エシカルな商品を見た時にどういう印象を持ちますか?」と質問したところ、Z世代において圧倒的に多かったのは「値段が高そう」という回答でした。一方、他世代と比較すると「買いたくなる」「ユニークだ」の回答率も高い傾向にありました。他世代に比べて回答率が高く、エシカルの考え方に対して共感する感覚を持っていることがわかりました。一方で、"手間がかかっている"といったイメージからか、高価格帯という印象を強く持っているようです。
また「実際にZ世代がエシカル商品を購入したくなるきっかけ」について、「エシカルについて関心がある項目」と「購入のきっかけになる項目」をクロス集計で分析したところ、「食品ロスの削減」が飛びぬけて高い結果になりました(上記画像参照)。背景には「価格が安くなっているのではないか」というイメージが結びついていると推測でき、前述にもあった価格感度の高さが影響していると考えられます。一方で「アニマルウェルフェア」や「オーガニック」を上げられた方は少数であり、現状では購買動機には寄与していないと考えられます。
さらに「食全般の楽しさ」について、Z世代のフリーアンサーを分析したところ、期間限定といった「季節感」をはじめ、一緒に食べるという「共食の楽しさ」、想像以上に美味しかったという「驚き」などが多く挙げられた一方で、「エシカル」に関する回答はほぼありませんでした。
加えて、規模的にはまだ少ないですが、「Z世代がエシカル消費をする理由」も質問しました。「自分が正しいと思う行動をとりたい」、「環境によい」など、"正義感"が動機になっているようです。
これらの調査結果から、現在地として、Z世代におけるエシカルは「あまり楽しくなさそうなもの」として捉えられており、食の根源的な美味しさや楽しさにつながっていないと考えられます。エシカル消費に対してZ世代に価値を感じてもらうには、「エシカルの中に楽しさを見出す」のではなく、「Z世代が楽しいと感じていることにエシカル商品・ブランドの要素をインプットしていく」ことが突破口になるのではないでしょうか。
■Z世代のエシカル動向(一部抜粋)
一般社団法人ETHICAL EXPO JAPAN
代表 塗野直透さま
2022年に設立したETHICAL EXPO JAPANでは、企業のエシカルに対する取り組みや想いを若者に共感してもらえる仕掛けづくりのお手伝いをしています。事業としては、社会課題に強い関心を持った学生約2,000名が所属するコミュニティ「ETHICAL REALIZE」をはじめ、新卒採用における企業と学生のマッチングを目的としたメディア「ETHICAL TIMES」、そして日本最大級のエシカルの複合展示会「ETHICAL EXPO」の運営を行っています。
10年後に消費の中心層となるZ世代は、多感な学生時代にSNSが爆発的に普及したこともあり、情緒的価値を重視しながら、海外の最新トレンドにも身近に触れてきたことでエシカル志向が強くなったと考えられます。就職活動においても約70%の学生が「企業がSDGsに取り組んでいることを知ると志望度が上がる」と回答するなど、報酬や福利厚生と同等に、企業のパーパスが重視されています。
そんなZ世代に対するエシカル訴求の実態を調査するため、22歳から27歳の男女6名を対象にしたグループインタビューを実施しました。
「共感できるエシカルなテーマや取り組み」について質問したところ、「パタゴニア」「もみじ作業所」「That's」といったブランド名が挙げられました。その理由は、「おしゃれ」や「カッコいい」を前提としながら、「長く着続けるために修理してくれる」「エシカルなブランドなら周りと被っても嫌じゃない」「哲学や想いもカッコいいから」など、プロダクトの意義や意味が他ブランドとの大きな差別化ポイントになっていることが分かりました。
また「スーパーやコンビニでエシカル消費をしたことがあるか?その理由」について質問したところ、「価格も一緒で捨てやすいので紙パックの包装のものを購入する。結果的に環境に良いなら一石三鳥」といった回答が挙げられました。エシカルそのものが購買動機になる印象は弱く、機能面を前提としたエシカル消費のインサイトを伺い知ることができます。また「『ブラックサンダー』がもともと好きだったが、スマイルカカオプロジェクトを知りなおさら好きになった。サイトでも企業の本気度が感じられる」といった回答も寄せられ、企業の熱量がZ世代のエシカル消費を後押しする事例も見受けられました。
加えてABテストも実施し、「A:フェアトレードチョコレート」と「B:子どもたちの未来をつくるチョコレート」で比較したところ、「Bには具体的な取り組みが書かれていなかったから(A選択者)」などグリーンウォッシュを疑う意見や、「Bは色々な似た情報がある中で疲れる(A選択者)」、「サステナブルやフェアトレードという言葉に魅力を感じない(B選択者)」といったZ世代の"サステナブル疲れ"を感じさせる回答も寄せられました。
これらのグループインタビューを通じて、特に食の領域においてエシカル価値やストーリーは、機能的な価値(美味しさ)がある上で、消費選択の後押しにつながっていることが見えてきました。また自身のエシカル消費で社会や環境がどのように変わったのかについて"結果の見える化"を求める声も見受けられました。さらに、情報過多社会おいてZ世代はグリーンウォッシングへの疑念や"サステナブル疲れ"を感じている一方で、SNSによる訴求を効果的に活用することで、企業の想いや哲学に対する共感を強化できる可能性も見えてきました。
■ご参加いただいた方からのコメント
株式会社ニチレイフーズ サステナビリティ推進部長 佐藤友信さま
海外事例や日本での意識調査など大変参考になる情報提供ありがとうございました。いわゆる「意識の高い一部の人が購入する世界」ではなく、今後ますます多様性が認められ普遍的になっていく中で、世界中で様々な形でエシカル消費が進んでいるという事も理解しました。特別なものではない、気がついたらサプライチェーンの全て(自然も人も)が幸福になっている様な商品開発やサービス提供に向けて新たな発想で取り組んでまいります。
第4回「食のサステナビリティフォーラム2024」は、2025年3月に開催を予定しています。「持続可能な食をテーマにした流通企業の方針や事例の発表」と題して、イオンリテール株式会社 MD改革本部 商品戦略部 部長 横田大輔さまより、持続可能な調達に関する現段階の考え方や今後の方針、エシカル商品の取り組み事例のご紹介をはじめ、ほかエシカルに関する業界の最新事例などについても発表する予定です。(内容は変更する可能性がございます)。
CCCMKホールディングスは、生活者、メーカー、流通など「食」に関わるあらゆるステークホルダーの皆さまと共に、エシカルフードが社会に少しでも浸透していくこと、そして「Vみんなのエシカルフードラボ」の活動ひとつひとつが、未来につながる食の循環を作ることに貢献してまいります。